議論の内容は、TPP交渉状況における評価ですが、私は、TPPによって日本は相当に国益を「毀損し得る」と主張する一方、ナパオンさんは、「TPP交渉で日本は思いのほか健闘しており、当初TPP反対論者が危惧していた程には、TPPは日本の国益を損なうことはないのではないか?」という意見を持っているということで対立意見を戦わせました。
10分〜15分ほどの議論でしたが、内容が多義に渡ったため、その内容を全て書くことは出来ないのですが、ナパオンさんのどうにも理解しがたい主張の(数多くある中の)一つを紹介し解説してみようかと思います。
ナパオンさんが、「TPP交渉で日本は意外と健闘している」と考える根拠の一つとして、アメリカやオーストラリアの交渉担当者が、「TPP交渉から日本を外せ!!」と発言していることを挙げていたのですが、果たして、この発言は、本当に日本がTPP交渉で健闘していることの証拠であるのか、あるいは、単に思ったほどには譲歩してくれない日本に対して圧力をかけるためのブラフであるのでしょうか?
当然、本気で「TPP交渉から日本を外すべきだ!!」と考えている人間もいるでしょう、しかし、それは、日本がとても他国の要求する条件を呑めない事情があるからという当然の理由です。そもそも経済の規模も外需依存度も産業構造も全く環太平洋諸国と、日本が同等の条件を簡単に呑めるはずがありません。特に、農業は日本にとって決定的なアキレス腱となっているため、オーストラリアやアメリカが要求する基準まで譲歩することが容易ではないことは当然です。
つまり、まず、この時点でナパオンさんとは認識のズレがあるわけです。つまり10段階で各国は、「当然日本も8までの要求を呑むべきだ」と考えているのに、実際には日本が5程度しか要求を受け入れていないことが原因で、他国はフラストレーションを抱えて「日本を交渉から外せ!!」と発言してるわけですが、私の考えでは、産業構造上この5程度の要求受け入れですら相当な国益の毀損をもたらすと考えているわけです。現実に、例えば、豚肉と牛肉は相当に関税が引き下げられると報じられていますし(『豚肉関税、50円で調整 TPP 日米譲歩、牛肉9〜10%』http://www.sankei.com/politics/news/140503/plt1405030019-n1.html)、自動車関税は「関税は20年間撤廃しない」一方で、日本側の「軽自動車の廃止を要望している」という情報もあります(http://www.asyura2.com/13/senkyo155/msg/875.html)。日本の食肉産業は、厳しい安全基準や、アメリカの穀物メジャーから高い価格で飼料を買わなければならない等、価格面での不利があるために、関税の大幅引き下げは死活問題である一方、自動車関税は20年間引き下げないという条件を突きつけられているのですから、一体なんのためのTPP参加なのか分かりません。果たして、TPP締結後に国内の食肉産業が壊滅的な打撃を受け、国内で豚や牛を飼育できなくなるような事態に陥った時には、一体誰が責任を取るのでしょうか?もうその頃にはとっくに安倍も甘利も政治家を引退し悠々自適の老後生活を送っていることでしょう。
少し話がズレてしまったので、最初の疑問に戻りましょう。果たして、各国の交渉担当者の「TPP交渉から日本を外せ!!」という発言が、本音であるのか、ブラフかもしくは日本に対する圧力であるのか?という問題です。
もちろん、ある程度「本音半分、ブラフ半分」という面があるのでしょう。しかし、それでもある程度、この発言が本音であるのか、ただの圧力であるの?ということを見分ける単純な方法があります。その方法とはズバリ、「日本がTPP交渉から離脱するという選択肢を提示しているか否か?」という問題です。
つまり、簡単に言えば日本が「交渉の結果の如何によってはTPP離脱も検討する」という姿勢を見せている状況で、「TPP交渉から日本を外せ!!」と言っているのであれば、それはおそらく本音でしょう。しかし、日本にTPP交渉から離脱する選択肢を全く検討していない状況で他国の交渉担当者が「TPP交渉から日本を外せ!!」と言っていれば、それは明らかに単に日本に譲歩を迫るための脅しです。
親が子供に向かって、「気に入らないなら、この家から出て行け!!」と怒鳴りつけるような状況を想像すれば分かりやすいかもしれません。20歳を超えて職に就いている子供に向かって、「出て行け!!」というのであれば、それは本気で言っているのでしょうが、例えば、小学5年生の子供に「出て行け!!」と言うのは単なる脅しであって、本気で「出て行け!!」と言っているのではありません。
では、現在の日本の状況を考えると、当の安倍首相が、「TPPはアジア・太平洋の「未来の繁栄」を約束する枠組み」だの「TPPへの交渉参加はまさに国家-百年の計」だの「「TPPがアジア・太平洋の世紀の幕開けとなった」-後世の歴史家はそう評価するに違いありません」だのと言っているわけで、今更、「ごめんちゃい!!TPPの交渉続けてたけど、日本にとって不利だから抜けます てへぺろ(・ω<)」などと言えるわけがありません。特にTPP参加を積極的に支持していた財界などは激怒するでしょう。
まあ、要は「日本は足元見られて圧力掛けられてるだけ」なのだと判断するのが妥当だろう、常識的に考えれば分かるのではないかなと、そんなふうに思うわけです。
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