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2014年01月06日

中世化する世界・・・

 先日、萱野稔人さんと共著『没落する文明』を書いた神里達博さんがある対談イベントの中で、「現在の世界はどんどん中世化していっている」ということを言っていました。なんだか、ひっかかるキーワードだなぁと思いながら、色々な情報を調べていくと、
「うーん確かに、世界は中世に逆戻りしているのかも・・・」
と思えるような情報に突き当たってきて、最近ますます、この「世界の中世化」というキーワードが気になっている次第であります。

 今回の議論は、特に私の中でまとまった考えがあるわけでもなく、ほとんど思いつきのような発想なので、そのように理解した上で読み流してもらえれば幸いです。

 私は、先日ASREADで『アベノミクスで所得が増えない理由とは』という記事(http://asread.info/archives/338)を寄稿し、現在の日本では、企業の業績が上がっても労働者の賃金が極めて上昇しにくい状況にあるということを解説しました。特に、日本は大企業の力が強く、新規のベンチャーが育ちにくいというビジネス環境であり、株価や大企業の業績が上がりやすい一方で、労働者の賃金が上がらないということは所得の不平等化を招き格差の拡大や固定化を招くのではないかと懸念しています。

 また、川端祐一郎さんは、ASREADの『「技術的失業」について ー テクノロジー崇拝が資本主義を不安定化する?』(http://asread.info/archives/189)という論考にて、

機械化やIT化が「熟練」の価値を希薄化し、資本家(や経営者)が労働者との長期的関係を必要としなくなって、しかも資本家のパワーが相対的に強まるのだとすれば、テクノロジーも資本主義の金融化、流動化そして不安定化と無関係ではないと言えるでしょう。

と述べていますが、ここからも労働者の価値や地位が低下する一方で、資本家のパワーが相対的に向上する可能性について言及しています。有産階級である資本家と、無産階級である労働者の地位の格差が拡大する様子は中世の封建制、農奴制社会をなんとなく連想させないでしょうか?

 また、1300年以降の経済成長率の伸びを見てみた場合、経済成長は1750年以前は事実上なく、過去250年の急速な技術進歩は、人類史上特異なエピソードだったのです。そして、その後の成長は20世紀半ばぶ成長率のピークに達し、以降、減速し、現在もさらに減少し続けています。このままの状況でいた場合、今後の世界の経済成長は極めてゼロに近い水準に近づくことが予測されます。

 また、中野剛志さんは『日本防衛論』の中で戦後の経済の発展段階を3つの区分に分けてそれぞれ解説していますが、

1950〜1972年

(イノベーションと生産性の向上)
19世紀の後半の第二次産業革命の発明が普及し、1972年までに生産性の向上に大きく寄与。1960年代から第三次産業革命の開始。

(世界経済の実質成長率)
4.8%

(企業システム)
旧経済ビジネス・モデル

(国際経済体制)
ブレトン・ウッズ体制

(国際政治体制)
アメリカの覇権

1980〜2009年

(イノベーションと生産性の向上)
第三次産業革命の発明(ICT)による生産性の向上は、1996〜2004年の8年で消滅。その後のICTの技術進歩は、娯楽と通信だけ。

(世界経済の実質成長率)
3.2%

(企業システム)
新経済ビジネス・モデル

(国際経済体制)
ワシントン・コンセンサス体制

(国際政治体制)
G7→G20

2010〜

(イノベーションと生産性の向上)
第四次産業革命は起きず?イノベーションによる生産性の向上なし?

(世界経済の実質成長率)
ゼロ成長?

(企業システム)
新経済ビジネス・モデル?

(国際経済体制)
グローバル化の終焉?

(国際政治体制)
Gゼロ?


ここで注目すべきは、なんといっても2010〜以降の世界の体制でしょう。中野剛志さんは技術的なイノベーションが発生しないゼロ成長時代の到来を予言しているワケです。(ちなみに、中野剛志さんは、過去に共著として『成長なき時代の「国家」を構想する ―経済政策のオルタナティヴ・ヴィジョン』という本を出しいていますが、やはりこれはこのようなゼロ成長時代の到来を見越して出版されたのでしょうか?)

 技術的なイノベーションが発生せず、経済は成長しない、そして有産階級のパワーが強くなりながら、階級が固定化する・・・これらの予測がかなり現実的になっていることを考えれば、「現代の世界が中世化している」という仮説も一定の説得力を持つように思えます。

 多くの人は、このような仮説に触れて、「まさか、そんなことにはならないだろう」と感じるかもしれませんが、現実に日本は過去10年以上に渡ってGDPは成長していないわけです。そもそも、日本の平等社会、あるいは1億総中流時代などと呼ばれていた時代もそもそも失業率が2%未満という現在からは考えられないような低水準にあった高度成長期やバブル期のほんの一瞬であり、考えようによっては、あのような極端に恵まれた時代こそ幻想に過ぎなかったのかもしれません。

 もちろん、気分の良くなる予測ではありませんが、それでもこのような格差は拡大し、一部の資本家のみが裕福になる一方で、その他のほとんどの人々が貧困化し、階層は固定化し、生まれた時からほとんど事実上社会の階層を駆け上がっていくのが不可能な世界が到来するかもしれない、どころか、このまま何の有効な手立ても打てなければそのような世界が到来する確率が非常に高いという現実は皆が覚悟するべきではないでしょうか?あまりに悲観的かもしれませんが、少なくとも今後の世界がたどりうる低位シナリオとしてそのような未来は想定しておくべきであると私には思えます。


ASREADさんに記事寄稿しました!!こちらもよろしくお願いします!!⇒『アベノミクスで所得が増えない理由とは』http://asread.info/archives/338




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posted by 古谷経衡と倉山満による不当な言論弾圧を許さない市民の会 at 04:30 | 神奈川 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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