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2013年08月09日

安倍首相は、TPP交渉離脱も、消費税増税先送りもしないだろうという予想と、その根拠・・・

 日経新聞が今さら警鐘を鳴らしていますが、アメリカとの事前協議で見せつけられたのは、ひたすら譲歩を重ね、相手に譲歩させることはできない日本の姿でした。「交渉力」とやらの欠片も見ることはできませんでした。
(ブログ 新世紀のビッグブラザーへ 『交渉力』http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11510382168.html より)


 これは、以前、三橋貴明さんがブログで安倍政権のTPP交渉のあまりにも情けない状況を批判するために書いた文章なのであるが、おそらくこのような無残な状況においても安倍さんはおそらくTPP交渉の脱退はしないだろうなぁと思ったので、今回はその根拠について書いてみることにした。

 まず、最初に確認しておきたいことは、おそらく安倍さんはどんな状況になろうとTPP交渉離脱はしたがらないだろうということ。なぜなら理由は簡単である、自民党の議員は民主党時代にTPP参加の是非について一貫して、民主党政権の交渉力の不足を指摘し続け、なおかつそれをTPP反対の大きな根拠の一つとして挙げていた。そのような経緯を踏まえるなら、現在の状況でTPP脱退を宣言することは安倍政権の交渉力が民主党同様に不足していたという事を認めることとなる。これだけ国民から高い支持率を受けている状況でわざわざ自分から
「実は、自分たちは世界に伍していくだけの交渉力のないダメな政権でした!!」
と、宣言したいとはとても思わないだろう。あれだけ、
「これからは世界に打って出るのだ!!」
と威勢の良い発言を繰り返してきた安倍首相にあってはなおさらである。

 ちなみに、同様のことは消費税にも言える。以前から、景気の状況を見て消費税を増税するか決めると宣言してるにもかかわらず、秋に消費税を増税を決定しなければ、安倍政権の最大の目玉政策であったアベノミクスの成果を自ら否定することになる。

 結局、非常に残念なことに、現実の世界ではその政策判断が正しいか否かといった問題より、はるかに程度の低い様々な事情によって政策が左右されることが往々にしてある。時にそれは、政策担当者の能力不足や、その人物がおかしなイデオロギーに凝り固まってるせいであったり、あるいは政策責任者(言うまでもなく、消費税およびTPP交渉に関しては首相)のメンツを守るためであったりする。

「国民に断固とした姿勢を示すため!!」などと言われれば、思わず、「断固として間違った政策を実行するのかよ?!(笑)」とからかいたくもなるが、結局そんなくだらない理由で非常に重要な政治的決定が下される例は事実存在する。

 正解を出したい(あるいは少なくとも正解する確立を上げたい)と思えば、まず自分が間違いやすい事を認め、意図して自分のミスを探し出し、どうしてそのミスを犯すことになったのかをつきとめなければならない。この真理は、正解することがちっぽけな事故の高揚ではすまされず、のっぴきならない課題である分野では、以前から認識されていた。交通運輸、工業デザイン、食品や薬品の安全性、原子力エネルギーなどの分野だ。そのような分野は、どんなに良い状態でも、誤りについて、生産性のために気にせざるをえない。過誤が生じうるありうる理由をすべて想像しようとし、できるだけ多くの過誤を防ごうとし、過誤が紛れ込んでしまったら、事後に徹底調査を行う。こうした業界は、誤りは避けられないと認めることによって、過誤を予見でき、予防が失敗しても適切に対応できるようになる。
(『間違っている エラーの心理学、誤りのパラドックス』キャスリン・シュルツ 著 松浦俊輔 訳 p399)


 どのような観点から考えても、おそらく1億2千万人の生命の安全や人生そのものに非常に大きな影響を与える日本の政治の政策の意思決定は、
>正解することがちっぽけな事故の高揚ではすまされず、のっぴきならない課題である分野
であるはずなのだが、残念ながら日本の政策担当者が
>過誤が生じうるありうる理由をすべて想像しようとし、できるだけ多くの過誤を防ごうとし、過誤が紛れ込んでしまったら、事後に徹底調査を行
っているようにはとても思えない。

 さらには、前回の記事で書いたように
「『TPPがアジア・太平洋の世紀の幕開けとなった』。後世の歴史家はそう評価するに違いありません・・・TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます。」
などという、如何なる方法においても証明不可能な極めて主観的な思い込み(というか妄想?)を根拠に、国民の生活全般にわたって様々な深刻な悪影響が懸念されているTPP参加について簡単に決定をしてしまうような安倍首相に
>自分が間違いやすい事を認め、意図して自分のミスを探し出し、どうしてそのミスを犯すことになったのかをつきとめ
ようとする姿勢があるとも全く思えない。

 おそらく、不可能だろうと思いつつも、いい加減日本人は、「断固として改革を断行する事」や、「ブレない実行力」などといった姿勢より「自らの失敗を認め態度を改める」事の方が勇敢であると認めるべきである。一度決定した決断を改めるリーダーが頼りなく感じ、もっと毅然とした態度をとる頼りがいのあるリーダーを求める気持ちは理解できなくはない。しかし、頼りがいのある素晴らしく立派なリーダーに間違った政策を取り続けられることほどの悲劇はない、中野剛志さんが言うように間違った決断を行ったのならば正しい政策に軌道修正するためにブレるのが正解なのである。

 そのような意味では、1997年に、消費税増税を行い日本を10年以上続くデフレ不況に追い込んだ橋本龍太郎元首相が次のような言葉を述べた事は評価しなければならないと思っている

「私は97年から98年にかけて緊縮財政をやり、国民に迷惑をかけた。私の友人も自殺した。本当に国民に申し訳なかった。これを深くお詫びしたい」(2001年4月 故・橋本龍太郎元総理大臣)

1997年からの不況も、いくらでも言い逃れは出来たし、誰だって、自分の友人が自殺した理由を自分が取った政策のせいにはしたくない。にも関わらず、このように客観的に事実を認め、このような謝罪を行うことは、そうとうな勇気と誠実さを必要とする。それを行うための精神的重圧は、おそらく自分の政策ミスを認めず、無理やり継続するための精神的プレッシャーをはるかに上回るだろう。



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posted by 古谷経衡と倉山満による不当な言論弾圧を許さない市民の会 at 02:43 | 神奈川 ☁ | Comment(5) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 増税についても同感ですね。カツトシさんの仰る根拠に加え、別の観点から考察してみます。
 安倍総理に全幅の信頼を置く人たちは 閣僚から消費増税に関する発言があったとしても、その一言一句を忖度して、“増税するとは明言してない、首相の発言は一ミリたりともブレていない””マスコミの既成事実化に騙されるな”とすがるような思いで強弁していますが、
 本当に増税を先送りするつもりならもっと政府高官から増税を凍結するぞという発言が聞こえてこないとおかしいですし、”消費増税時の価格転嫁を円滑にする特別措置法”などというどうでも良い法律を今年6月の時点で通す理由がありません。また、財務省は2014年度予算に消費税増税を前提とする二段階査定方式を強要するなど、増税に向けた地均しは着々と進んでいます。
首相や官房長官の口から、増税への慎重発言が出ることもありますが、消費税増税問題に対して「熟慮」を重ねたというアリバイ作りに過ぎないでしょう。
 三橋さんが以前に書いていた「閣内不一致を、安倍政権叩きのダシにされる、財務省もグルになって政権を叩くため、政治家は慎重に発言しなければならない」という理屈も、ねじれの存在していた参議院選までは通用しても、あと3年は国政選挙がなく多少財務省やマスコミにケンカを売ってもびくともしない政権基盤を手にした現在は通用しませんよね。
 三橋さんは「マスコミは増税を既成事実化しようとしている。 既成事実化に踊らされるな。」と書いていますが、実際三橋さんが「新聞やテレビの飛ばし記事だ。まだ決まっていない。」と予測し、蓋を開けてみて飛ばしに過ぎなかった事象はどのくらいあるでしょうか。 私が知る限りは自民党総裁選で安倍総裁誕生しか思いつきません。 昨年6月の増税3党合意、維新の会と旧たちあがれ日本との合併、安倍首相のTPP交渉参加・・・ 新自由主義、構造改革的政策に関しては「既成事実」がそのまま「事実」になっていることばかりで、これまでの自民党幹部の発言や成立してきた法律なども鑑みると、 秋に増税決定するのはマスコミの飛ばしである などというのはあまりにも楽観が過ぎます。
 麻生さんもこのままでは「平成の高橋是清」にはなれませんね。日本を、いや世界を第二次世界恐慌に陥れた張本人として、安倍総理と二人でせいぜい「平成の濱口雄幸、井上準之助バカコンビ」になるのがオチでしょう。
Posted by 名無しさん at 2013年08月09日 21:16
>昨年6月の増税3党合意、維新の会と旧たちあがれ日本との合併、安倍首相のTPP交渉参加・・・ 新自由主義、構造改革的政策に関しては「既成事実」がそのまま「事実」になっていることばかり
↑確かに、言われてみればその通りですね・・・
Posted by 管理人 at 2013年08月10日 11:40
三橋さんは、経済の現状分析、解決案提示能力に関しては間違いなく卓越した能力を持っているのでしょうが、政治家の背景にある政治思想、面子、自己顕示欲、力関係 こういったものを背景にその政治家がどんな判断を下すかの予測力については今一つなのでしょうね(誰しも将来の事を完全に言い当てることはできませんが、優劣の差で言えば、この能力に関しては中野さんが最も優れていると思います)。
 思えばカツトシさんも、
http://achichiachi.seesaa.net/article/342920368.html
所信表明演説の時から警鐘を鳴らされていましたね。TPPの事前協議が終わるまで「自民党に意見さえすれば何とかなるだろう。」と甘い予測をしていた私と裏腹に。
 あんな人々にわずかでも期待していた私が馬鹿でした・・
Posted by 名無しさん at 2013年08月11日 08:24
こんにちは。
突然こういった批判をするのは失礼かも知れませんがご容赦ください。
私はこの記事の大半の部分には同意いたしますが橋本龍太郎氏を評価する最後の部分はあまりよくないと思います。
なぜか。この発言は総裁選挙のときのものだからです。つまりこの発言は「私は消費増税を失敗だと認める知性と謙虚さを持っています。また友人をなくした痛みを受け止める情を持っています。だからもう一度総理大臣やらせてね。」
と読むべきでしょう。正直なところ「厚かましいな」と私は感じます。
 勘違いしないでほしいのはこれをもって「橋本龍太郎は悪人だ、売国奴だ」と罵りたいわけではありません。このような権力への志向、支持を集めるためのパフォーマンスは政治家として当たり前の行為であってそこを批判(もしくは賞賛)することに集中するのは無意味なのです。私は保守の人たちは過度に政治家に対して善意を期待しすぎると思います。だから橋下徹氏と安倍晋三氏の(正直麻生さんも)経済政策にはそれほど大きな違いはないのだということに気がつかなかったのです。
橋下徹氏は財界に対するアピールを隠さないことで、安倍さんはそれを隠して保守的な面をアピールすることでそれぞれ支持を広げようとしただけなのです。我々が考えるべきは彼らが何をしようとしているかを正確に予想しなるべくベターなものを選ぶ。「保守だから」という勝手な期待ではなく。そして議論と批判を続ける。それしか有りません。

橋本龍太郎氏の話に戻りますとこういうことです。橋本氏の発言はパフォーマンスに過ぎない。重要なのはそこではなく橋本氏はどういう政治家か、対立候補はどんな人かを読んで橋本氏が最も国益にそう行動をとれると思うなら応援すべきなのです。いかに厚かましい人物であろうと。政治家の評価を情緒的にすべきではありません。保守の人たちは「改革論」に対してはものすごく警戒するのに「愛国論」「反中、嫌韓アピール」にはめっぽう弱い。「日本の歴史に誇りを持とう」なんて言われた日にゃあいちころです。(もちろん反日史観では困りますけどね...。)

もうひとつ付け加えますともし今現在、橋本龍太郎氏が生きていて「消費増税は失敗だった。来年の増税は凍結すべきだ」という発言を例えば大手新聞で発表されたならそれはもちろん評価すべきです。これは言論人にも言えますが発言内容と状況をきちんと考えて評価すべきです。

駄文、長文失礼いたしました。
Posted by 名前はまだない at 2013年08月22日 17:30
すみません。追記です。
私は安倍総理を未だに幻想をもって語る人はもちろん、「安倍は売国奴だ、嘘つきだ」と罵る人たちも同じようにこれから何度も何度も騙されるであろう、と申し訳ないけれどそう思っています。判断基準が情緒的だからです。その問題点が検証されていない。それを私は危惧しています。
Posted by 名前はまだない at 2013年08月22日 17:40
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