今回は、規制緩和が生み出す新たな利権という話です。先日とある政治家の先生のお話を聞く機会があり、「へー、そんなこともあるのか」なんて思った小話を紹介。
この先生は、いわゆる単純な規制緩和や構造改革には反対の議員の方なのですが、「規制緩和は個々の議員の利益になる」という話をしていました。具体的にどういうことかと簡単に言うと、つまり規制緩和を唱えると、その規制緩和しようとしている分野に参入したい企業の人間が、その議員を支持したり献金してくれたりするというワケなんですね。これはいわば規制緩和利権と呼んでよいかもしれません。普通、力のない1年生議員などには、経営者は見向きもしないのですが、規制緩和を声高に唱える議員にだけは、経営者などから声がかかって、応援してくれたり、献金してくれたりするそうです。
「利権や既得権を打破するために規制緩和が必要だ!!」と声高に叫んでいる新進気鋭の若手議員(のように見える人間)こそが、実は一番お手軽にありつける利権構造にズブズブにはまり込んでるというのが、なんとも滑稽に思えます。
しかし、このような問題について考えると、以前話題になった楽天の三木谷が薬のネット販売解禁に関して、「解禁ないなら政府の議員辞任」すると発言した際に政治家たちが大慌てになったという話も納得できる気がします。以前は、「なんで、三木谷が民間議員をやめることに問題があるんだよ?!辞めたいならとっとと辞めさせろ!!」と思っていたのですが、おそらく裏では、三木谷が何人もの政治家に個人献金や企業献金を活用して資金提供を行っていたのではないでしょうか?そして、それとなく、「これだけ献金したのだから、民間議員に自分を入れろ」と圧力を掛けた。もちろん、これは憶測ですが、仮にそのような経緯があったとすれば、民間議員を辞めるということは献金の打ち切り(もしくは減額)を意味するでしょうから、政治家たちが大慌てしたというのも納得できます。
つまり、簡単に言うと、政治家たちがあたかも、スポンサーの意向に逆らえないTVメディアのごとく、金主の意向に逆らえない奴隷に成り下がっているわけですね。しかも、彼ら民間議員の決定は、本格的な議会性民主主義とは全く違った原理で意思決定がされるので、相当に厄介な問題であると思います。
でも、これもさらに厄介な問題として、今まで散々政治家は決断が遅い、もっと決められる政治をなんて意見が延々垂れ流され、複雑で厄介な政治的プロセスをすっ飛ばした結果として、このような首相が勝手に諮問委員会を設置して、議会ので議論を経ずに勝手にアレコレ決めるという今のおかしな制度が出来てしまったワケなんですね。しかも、先に書いたような利権構造がガッチリと出来上がってしまっているとすれば、これを変えるのは相当に困難であると思います。
ここから、学べる教訓はいくつもあるでしょうが、やはり一つには軽々しい思い付きのような言論一つで、簡単には取り返しのつかないような事態を招いてしまうことがありうるということではないでしょうか。
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