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2013年08月25日

消費税増税の問題について・・・

 先日、三橋さんのブロマガで東田剛さんが消費税増税について興味深い内容の寄稿をしていたので今回はその記事の内容を参考に消費税増税問題について考えてみる。

 消費税論議はどうでしょう。
私は、これ、あんまり興味ありません。
どうしてか。

増税派筆頭の財務省は、消費税増税するなら公共投資を増やすけど、増税しないなら公共投資もなしという方針です。
「第二の矢」の国土強靭化は、消費税増税がなければできないという仕組みです。
自民党の積極財政派も、公共事業欲しさに、あっさり消費税増税に賛成するでしょう。
(三橋貴明の「新」日本経済新聞 【東田剛】安倍政権だよ、全員、平蔵! http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/08/14/korekiyo-57/ より)


 この記事を読むと、あたかも仮に消費税増税をすれば財務省は積極的な公共事業を容認するかのように思えるが、おそらく実際にはそうはならないであろうと筆者は考える。しかし、それは十分に東田氏も認識しているようであり、この後に次のような文章が書かれている。

ただし、増税が決まったら、どうせ、すぐに、緊縮財政に戻るでしょう。

なぜこのようなことが言えるのか?俺は、東田氏の頭の中をのぞき込めるわけではないので、東田氏と同じ考えかは分からないが、消費税増税が決定した場合どのようなカタチで同時に緊縮財政が進められるか、俺なりに予測を書いてみる。

 消費税が決定した場合に、公共投資の増加に反対する世論を形成する方法は意外と簡単かつ単純で、まず消費税増税が決定した時に、政府が公共投資の額を増額させようとした場合、マスコミはこぞって
「国民の血税である消費税を増税した分の金を土建屋へのバラマキに使うのか!!」
といういかにも頭のそうな、出来の悪いネガキャンを始めるだろう。

 しかし、結局ある種の与論誘導やプロパガンダの有効性はその論理的緻密性には全く左右されない、いやむしろ多くの政治的プロパガンダは(たとえその内容がどれだけ間違っていたとしても)単純で分かりやすいメッセージこそが効果的である場合が多い。そして、あとは、その単純で分かりやすいメッセージをどれだけ大量に流し続けられるかで勝負は決まる。

 その意味では、ほぼ全ての地上波や新聞メディアで、あたかも「自分が必死に働いて稼いで払ったお金が、ワケのわからない土建業者という利権団体に吸い取られていく」かのようの錯覚を抱かせられるこのようなメッセージを大量に流されれば、ほとんどの国民はやられてしまう。もちろん、現在でも一部では増税せず財政出動するというケインズ主義的なオプションが強い景気回復効果をもたらすと理解している人たちもいるがあくまで少数派であり、その声が現実に政府を動かしていけるかは大いに不安が残る。結局のところ、反対の声を押し切って、半ば強引に進めてった消費税の三党合意やTPP参加交渉と同じ帰結を辿るのではないかと推測するのことがおおよそ妥当であろう。しかも、その二つは、議会や国民の中でも反対意見が圧倒的に強かったが、この公共事業の問題に関しては数の上ですら不利なのである。おそらくはほとんど何の障害もなく、「財政再建」「民間の活力を活かす」等々の美名のもとに公共投資は削減されるであろう。

 最後に、消費税自体の問題ついてである。去年春になされた景気条項が付けられた消費税の三党合意に関して、藤井聡さんは
「来年の秋にデフレ脱却が完全になされていない場合、仮の時の政権がまっとうな(政策判断能力、政権担当能力を有する)政権であるとするなら、附帯18条である景気条項に則って、消費税増税は先送りされるだろう」と述べていたが、残念ながら、TPP問題、靖国問題、歴史問題、構造改革についての判断等々現在までの経過を見る限り安倍政権がまっとうな政策判断能力を有しているとは信じられないのである。そして、さらに厄介であるのがこの三党合意では増税の是非の判断に国会の承認は不要であり、政府の判断のみに任されているという点だ、このような点を踏まえるなら議会の反対による阻止という選択肢が存在しない以上、消費税問題はTPP問題以上に絶望的な状況であると言ってよいかもしれない。



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2013年08月21日

安倍政権はいつまで「安全運伝」なのか?

 前回の記事(『民主党のTPPは汚いTPP、安倍政権のTPPは綺麗なTPP(キリ について・・・』http://achichiachi.seesaa.net/article/372377582.html)に面白いコメントが書き込まれていたので紹介。

 味方にせずとも敵にしない?
チャンネル桜の水島社長はかつて仰っていました。
「安倍政権が誕生してすぐに靖国参拝しないから安倍はダメだ という人は現実が見えていない。そんなことをしたら全マスコミが敵に回る。参議院選までは安全運転しなければならない。」
 そりゃ、12月や1月ごろはその通りだと思っていましたよ。ただ、TPP交渉参加を総理が表明したときは
”ここでTPPを蹴ればNHKを含め、マスコミ、米国、経済界が全部敵に回る。TPP交渉参加せざるを得ない事実を、他人事ではなく自分自身の病を治すように考えるべき”
それはいくらなんでも安倍総理を信じていたいあまり、安倍総理に騙されたという現実から目を逸らしているだけではないですか?(以下略)


「敵に回さないで、上手く取り込む」
「参院選までは安全運転」
あー、そういえば、そんなこと言っていたなぁ・・・という感じ。

 しかし、靖国に関しては、管理人の記憶が正しければ、
「第一次安倍政権が失脚した時、安倍さんは靖国に参拝しなかったことを心から悔んでいた。参院選までは靖国参拝を明言しないものの、必ず参拝するだろう」
と水島社長は言っていた気がする。まあ、現実はこの様である・・・。

 もちろん、9月や10月に選挙があったのなら、確実に物議を醸すであろう首相の靖国参拝に二の足を踏んでしまうであろうことは想像に難くない(もっとも、そのような状況であっても参拝してほしいと俺は思うが)。しかし、現実には7月に行われた参議院選挙は自民党の圧勝。盤石の態勢を築いた上に、現在のマスコミ不信の世論を思えば、どれだけ必死になってマスコミがバッシングしたところでその効果はたかが知れている。実際、小泉が靖国参拝した際には、どれだけマスコミが批判したところで、全くと言ってよいほど支持率の低下には繋がらなかった。

 さて、このような事情から勘案し、まさに
「いつ首相参拝するの?」
「今年でしょ?!」
と言っていいほどに絶好のタイミングだったはずのこの時期に靖国参拝を行わなかった、どれだけ贔屓目に言っても臆病だという批判は免れ得ぬであろうこの首相に対しての水島社長の評価は、
「これは、ただ臆病で腰ぬけだから参拝しなかったのではない。このようにあえて参拝しないということが、逆に中韓にプレッシャーを与えている。今回の不参拝は戦略的不参拝なのだ」
である・・・。

 仮に、似たような状況で、民主党の首相が参拝しなかった場合に、どのように論評しただろうかと想像すると、とてもこの発言がフェアな評価であるとは思えない。

 TPPにしてもそうである。確かに参院選前であれば、TPP不参加を明言しなかったことには一定の意味があった。なぜなら、アメリカがなんとしても成立させたがっているものの、実際には多国間で全く協議が進んでいないオバマ政権にとっての非常に難問である課題のTPPであるが、そのような状況で、もし仮に日本が不参加を明言してしまえば、それは日本が世界各国に向かって公式に「TPPは入ってもメリットのないクソ条約だ!!」と公表するに等しい。これではアメリカは確実に激怒する。ならば、とりあえず態度をあいまいにしてせめて参院選まではどっちつかずの姿勢でいようというような判断も決して悪くない。

 それなのに、現実には参院選前にTPP交渉参加を決定。これにはさすがのオバマ政権も驚いたようで、まさか安倍首相が参院選前にTPP交渉参加を明言するとは思わなかったというレポートも提出している。

 水島社長は、いみじくもTPPを「亡国最終兵器」と名付けた。うむ、素晴らしい、そしてTPP参加に前のめりであった菅政権、野田政権を徹底的に批判し、「民主党は、このTPPに参加することで完全に日本を破壊しにきている」とまで厳しく批判した。

 よし、ならば、今こそTPP交渉参加を公式に表明した現政権、現在の首相も徹底的に批判しようではないか。「安倍首相こそは、TPP参加を決定したことによって、日本を亡国への道へと突き進ませた最悪の首相であったと後世に評価されるだろう」と言おう。

 今までの戦後数十年間の流れがあるからいきなりアメリカに楯突くことは出来ない?何を言っているのか、チャンネル桜があそこまで徹底的に批判していた鳩山由紀夫は年次改革要望書を破棄したものの、アメリカは何一つ報復することは出来なかったではないか?ハッキリ言って、一度取り決めた年次改革要望書を破棄することの方が、まだ結んでいなかった条約であるTPPの不参加を決定することより圧倒的にハードルは高かったはず。

 日本語には、相手になんの気もないのに自分だけが気追い込むことを独り相撲というが、別に、日本がTPPに入らなかったら、何か報復してやろうなど誰も考えていないのに、独りで勝手に「きっとTPPに入らなかったらアメリカから恐ろしい報復を受けるだろう・・・」などと勝手に想像する様は、まさにその独り相撲という言葉がピッタリである。

 左翼の論客や、自由貿易を礼賛している経済評論家連中が必死になって、
「グローバル化の波に乗り遅れるな!!」
「TPPに入らなければ日本は世界の孤児になる!!」
などと叫んでいる様子は滑稽であるが、残念なことに実際には安倍首相を擁護する右派の論客が
「TPPに入らなければアメリカとの同盟関係がー」
などと言っているのも大差ない程度に滑稽かつ哀れである。

 さて、最後に、水島社長は「安倍政権は参院選までは安全運転」と言っていたが、この言葉の意味は参院選が終われば安倍首相は本来の保守色を打ち出し、自国の国益優先でかつ自国の文化を重視した政策へと大きく舵を切ってくれるだろうという期待であったはずだ。

 しかし、現実には、第3本の矢、構造改革、岩盤規制の緩和、グローバル化、外に打って出るとかつて、保守派の人々が期待したこととは全く逆の方向へ一気に突き進んでるん感さえある。はて、参院選までは安全運転というのは、参院選が終わったら時から一気に文化破壊と亡国への方向へとアクセルを加速させるという意味だったのだろうか?



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2013年08月19日

民主党のTPPは汚いTPP、安倍政権のTPPは綺麗なTPP(キリ について・・・

 8月15日、頑張れ日本行動委員会の集団参拝に参加して、そのあと国民行進にも参加した。ここ数年は、毎年参拝しているが、安倍政権になった影響か、今年は特に人が多かった。靖国参拝も良かったし、毎年行っている国民行進も素晴らしかった。

 ただ、今回、どうしても気になってしまったのが、靖国不参拝を決定した安倍首相に対するチャンネル桜の水島社長の発言である。曰く、
「今回、安倍首相は、不参拝を決定したが、これは民主党政権の閣僚の不参拝とは全く違う。安倍首相は、こうして参拝しないという選択をあえて行うことで、中韓にプレッシャーを与えているのだ。この不参拝は、ある意味で戦略的な不参拝なのだ」
と・・・

 うーん、正直それを言うのだけは止めてくれと思ってしまった。その後「今回、不参拝について、安倍首相は痛恨の極みだとも言っていた」と言うが、それだけ伝えて戦略的不参拝について言う必要はなかったのではないかと思う。これが証明できない以上、ただそうであってほしいという願望に過ぎないのであるし、民主党の閣僚不参拝が戦略的不参拝でなかったことも論理的に証明できないのであるから、一方的に安倍首相の不参拝を戦略的不参拝として積極的な評価を与えるのは卑怯ですらある。

 そして、何よりの問題は、このロジックは論理的に証明できない以上、ありとあらゆる状況応用出来てしまうということである。これは皮肉で言われていることであるが、代表的なものが

「民主党のTPPは汚いTPP、安倍政権のTPPは綺麗なTPP(キリ」
であり、今回は
「民主党の不参拝は中韓に屈したカタチの不参拝、安倍首相の不参拝は戦略的不参拝」
である。

 さて、現在アベノミクスの効果によると言われている景気回復局面にあって、消費税増税の議論が党内で本格的にスタートしているらしいが、そこではまた
「民主党の消費増税は汚い消費増税、安倍政権の消費増税は綺麗な消費増税」
とでも言うつもりだろうか?

 この言葉はあらゆる局面で政策を妥協するための言葉として使われ得る上に、さらに厄介なことは常に悪い方向への妥協に使われているということである。安倍首相を応援するのは一向に構わないのであるが、少なくとも、このようなアンフェアでかつ現状容認、つまり妥協的なカタチの支持は、決して安倍政権のためにもならず、むしろそれを堕落させるだけの結果に終わると思うのだがどうだろうか?



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2013年08月14日

『人生の科学 「無意識」があなたの一生を決める』(著 デイヴィッド・ブルックス 訳 夏目 大)を読んで〜ステレオタイプのカリスマについて)

 この本は、自己啓発を小説にしたような一冊。全米で発行部数45万部突破というベストセラー本である。

 主人公は、ハロルドとエリカという架空の男女。生まれも育ちもまったく違う2人の誕生から、青年期、出会いと結婚、壮年期、老年期、そして最期の瞬間までをたどり、「無意識」が人間の一生にいかに大きな影響を及ぼすかを、脳科学、心理学、行動経済学、哲学などの先端諸学の成果から明らかにする。

という触れ込みであるが、何しろ主人公が生まれた直後(正確には、主人公の両親の出会いと主人公が生まれる前の胎児の時期)から物語が始まるので、前半はかなり冗長な感が強い。何か、経営理論の解説のための小説であった『ザ・ゴール』の劣化版のような感じがして、途中何度か読むのを止めようかとも思ったが、中盤〜後半部分はそれなりに示唆に富んだ内容であり、全体としては良書だと思った。

 この本の中で、俺が特に面白いと感じたのが主人公のエリカの社会人時代のエピソードである。主人公のエリカが入社する会社では、ある経営者が登場するのだが、その経営者の描写がある人物にそっくりで非常に面白かった。

 人間はほぼすべて、自分を過信しがちな生き物であると見て、まず間違いはないだろう。エリカが入ったケーブルテレビ会社の社員たちも例外ではなかったが、彼らは単に自分たちの力を過信していただけではなかった。それだけではなく、能力を人に見せびらかそうとするのである。CEOのブライズ・タガートは、どの会社に行っても、必ず大きな改革を仕掛けた。入社するとすぐに「旧態依然の官僚主義、古い考えに対し、戦いを挑む」などと言って、宣戦布告をするのだ。その改革の熱意が時に、経験豊かなマネージャーや、古くから受け継がれてきた慣例に対する軽蔑にすり替わることもあった。彼はよく真夜中に指示を出したが、その多くが単なる思いつきにすぎず、おかげで社内のあちこちの部署が大混乱に陥った。金言、警句の類を多用するのも特徴だった。どれも言葉の上ではなるほどもっともと思わせるものの、社内の現状とはまったく関係のないことがほとんどである。社員たちがプレゼンテーションをしても、じっと座って見ていることが出来ない何週間もかけて入念に準備されたプレゼンテーションをしばらく上の空で眺め、ついには「どうも心に訴えかけてくるものがないな」などと言い放つ。そして取り巻きたちが追従笑いをする中、外へ出て行ってしまうのである。
 タガートは人から「勇気ある改革者」だと思われたがった。
(p341)


 このケーブル会社のCEOである、どこに行っても「改革大好きー!!」なタガート氏の描写がセリフから、俺は思わずある人物を連想してしまったのが誰の事だかわかるだろうか?

 このブログの読者であれば、もしかしたら分かってくれる人もいるかもしれない・・・そう俺の大嫌いな人物橋下徹現大阪市長その人である。

 自分の能力を過信するだけではなく能力を人に見せびらかそうとする自己顕示欲、大阪府知事になっても、市長になっても「改革改革!!」。旧態依然の官僚主義、古い考えに対し、戦いを挑む威勢の良い姿勢!!思いつきのアイディアで現場を大混乱に陥れる責任感のなさ・・・どれを取ってみてもあの橋下市長そのまんまではないか!!正直言って俺はこの人物が登場した時には、「もしかしたらこの人物は橋下大阪市長をモデルにして作られたキャラクターなのではないか?」と結構本気で思ってしまった。

>社員たちがプレゼンテーションをしても、じっと座って見ていることが出来ない何週間もかけて入念に準備されたプレゼンテーションをしばらく上の空で眺め、ついには「どうも心に訴えかけてくるものがないな」などと言い放つ。そして取り巻きたちが追従笑いをする中、外へ出て行ってしまうのである。

というタガートCEOの態度と、藤井聡さんに対して
 
>藤井教授の震災復興の著書が、現実の政治・行政を預かる僕の心に全く響かなかったのは、藤井教授の政府の実態分析の弱さ、そして組織を動かした経験のないことに起因する。

とツイッターで書いた橋下氏の態度なども恐ろしいほど酷似している。しかし、アメリカで書かれた小説の登場人物のキャラクターが、日本の政治家に酷似しているということから分かるのは、つまり、このようなタイプの改革者は結局日本だろうがアメリカだろうがどこにでも出てくるステレオタイプの人物であるということだろう。つまるところ、橋下現象とは、バブルになればいつの時代にも現れてくるほりえもんのような経営者を英雄視し、旧態依然とした守旧勢力と対決する改革者として過度に持ち上げられた、あの時の現象とほとんど同じような構図なのである。

 景気が後退し始めた時、会社の幹部たちはむしろ喜んでいた。ジョン・F・ケネディの「『危機』という中国語は、二つの文字からできている。ひとつは危機を表す文字、もう一つは好機を表す文字である」という言葉を互いにかけ合っていた。収益が減っていることも、新しいことに挑戦せよという警告と受け止め、積極的に、組織の再編、改革に取り組む。各部門の長は別の人間に入れ替える。不況をてこに大きく飛躍を遂げるべく、長期戦略を立てた。なりふり構わず、犠牲を厭わずに会社を成長させる戦略だ。10パーセント以上の成長が見込める部門だけに資金を集中し、成長せず横ばい状態が続きそうな部門はなくしてしまう。「これまでやってきたことを、ただ繰り返すような贅沢は我々にはもはや許されない」タガートはそう言い放った。「古い本は破って捨てる。全てをゼロから考えるんだ」
(p354)


>景気が後退し始めた時、会社の幹部たちはむしろ喜んでいた
↑とあるが、『ショック・ドクトリン』で書かれているように、急進的な改革を好む者はみな、危機の到来を歓迎する、なぜなら人々の精神を不安に陥れる大きな危機こそが自分たちの改革プランを急進的に推し進める好機であるからだ。橋下然り、その取り巻きのブレーン然りである。

>収益が減っていることも、新しいことに挑戦せよという警告と受け止め、積極的に、組織の再編、改革に取り組む。
橋下は、様々な改革プランを提言しているが、中でも最も積極的に打ち出しているのが統治機構改革である。彼とその周りのブレーンたちには、「潰れかけてる会社ほど狂ったように、組織再編を繰り返す」(BY中野剛志)という言葉を贈りたい。

>10パーセント以上の成長が見込める部門だけに資金を集中し、成長せず横ばい状態が続きそうな部門はなくしてしまう。
↑これも、高い収益を上げられる強い分野や地域を優遇し、弱者切り捨てを行うTPP参加、道州制、経済特区といったプランに近いだろう。

>「古い本は破って捨てる。全てをゼロから考えるんだ」
↑そして、最後のこのセリフは、ちょうど維新の連中が呪文のように繰り返し唱えている「グレートリセット」という言葉とほぼ同じ意味だろう。

 いやはや、本当にセリフや描写の一つ一つが本当に橋下そっくりである・・・ちなみに、橋下徹とそっくりなこのタガートCEO、この物語では最後に主人公一派にクーデターを起こされ社外に追放され、その評判も地に堕ちるのであるが、さてはて、現実世界に存在する日本の橋下大阪市長は果たしてどうなっていくのだろうか?



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2013年08月10日

終わらない構造改革・・・

 本来、どんな政策にもゴールはあるはずです。例えば「デフレ脱却」なら、日本経済がデフレから脱却した段階で、ひとまず終わりです。「失業救済」なら、失業率が一定の数値を下回った時点で、目的達成です。どんな政策も、特定の目的のために行われる。これは当たり前のことです。

 しかし改革論は、どこまで行けば終わりと言えるのか、明確なゴールが見えません。たとえば農業改革は、どこまでいくと終わりなんでしょう。電力改革は発送電分離がゴールでしょうか、それとも電力の地域独占を無くすのがゴールなんでしょうか。まさか外資が参入してきたらゴールじゃないですよね。

 このように改革論は、目的が曖昧にぼやかされているので、終わりなく続いてしまう傾向にあります。また明確な目的が見えないため、途中で引き返すこともできません。そして(戦果も問わないままに)戦線だけが拡大していく。いつの時代も政治はそうやって堕落していきます。
(三橋貴明新経済新聞 【柴山桂太】改革論の罠 http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/08/02/shibayama-13/ より)


 これは、柴山啓太さんが現在の日本で非常に流行している改革論の誤謬について触れた文章である。読んでいて、思わずなる「ほどなぁ」と感心してしまった。このような改革論の問題点は様々あるのだが、その非常に大きな問題点の一つはその成果の検証の不可能性である。

 前回の記事でも取り上げた『間違っている エラーの心理学、誤りのパラドックス』の中には、交通安全、医薬品や食料品の安全性、原子力エネルギーなどわずかなミスが非常に重大な結果をもたらしてしまう分野に関して次のように書いている

 正解を出したい(あるいは少なくとも正解する確立を上げたい)と思えば、まず自分が間違いやすい事を認め、意図して自分のミスを探し出し、どうしてそのミスを犯すことになったのかをつきとめなければならない。

ここで、書かれていることはつまり行動に対する検証の重要性である。こういった分野においては、ある選択がどのような結果をもたらしたのかを一つ一つ精査していく必要がある。しかし、先にもふれたように現在の改革論においては、そのような検証が不可能だ。

 たとえば、デフレ脱却のためのインフレ政策であれば、最初の文章にもあったように日本がデフレを脱却すればそれで終わりである。また、これも重要なのだが、仮にあるデフレ脱却を目的とした政策を行ったときに逆にデフレが深刻化するような事態に陥った場合、これもまた先ほどとは全く反対の理由、つまりその政策では目標達成が不可能であると判明することによって、その政策は終わる。だが、ここでも問題は改革案はそもそも目的が不明確なため、その政策が失敗に終わったということも客観的には証明不可能なのだ。

 つまり、こういった改革案は、一切の成果や失敗の検証が不可能なまま、推進する人間は何でも好きな理由をアレコレ付けてごり押しすることが出来る。

 何か良い事があれば、
「改革の成果だ!!」
と言い、不都合なことがあれば、ある時は
「改革のために必要な一時的な痛みだ!!」
と言い、別の時には
「このような結果に終わったのは改革が足りなかったからだ!!」
と主張できる。

 はっきり言って、こんなものは怪しげな新興宗教が、
「あなたが、このような事故に遭ったのはこの宗教に入らなかったからです」
と言ったり、
「あなたは、こんな事故に遭いながらこの程度の怪我ですんだのは、この宗教に入信していたお陰です!!」
と自分たちの都合によって、言うことをコロコロ変えるのと同じことである。しかも、この新興宗教と同じように、それが全くもって半鐘不可能であるのだから余計に性質が悪い・・・

 しかし、奇しくも日本は与党に新興宗教による宗教政党が入っており、しかも今回の参院選では与党第一党である自民党がカルト教団と教祖と揶揄される渡辺美樹を候補として擁立し当選させた。おまけに、最も注目される野党の党首は「ウソをつけない奴は政治家と弁護士にはなれないよ!」などと公言する詐欺師まがいの人間であるし、なーんか最近は安倍さんの支持者の一部は、まるでカルト教団の信者のように安倍さんについて盲信していたりするし・・・対外的には、中野剛志さんが言うようにゾッコクジャパンだけど、国内的にはカルトジャパンなような・・・。

 非常に空気に流されやすい国民性、主体性な思考力が皆無な大衆的知識人、やたらと威勢の良い言葉を吐く政治家、そしてやたらと英雄的な政治家を求める世論・・・いやー全体主義が発生する前って、もしかしたらこんな感じの空気なのかなーなどとちょっと想像してみたりもする今日この頃である。



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2013年08月09日

安倍首相は、TPP交渉離脱も、消費税増税先送りもしないだろうという予想と、その根拠・・・

 日経新聞が今さら警鐘を鳴らしていますが、アメリカとの事前協議で見せつけられたのは、ひたすら譲歩を重ね、相手に譲歩させることはできない日本の姿でした。「交渉力」とやらの欠片も見ることはできませんでした。
(ブログ 新世紀のビッグブラザーへ 『交渉力』http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11510382168.html より)


 これは、以前、三橋貴明さんがブログで安倍政権のTPP交渉のあまりにも情けない状況を批判するために書いた文章なのであるが、おそらくこのような無残な状況においても安倍さんはおそらくTPP交渉の脱退はしないだろうなぁと思ったので、今回はその根拠について書いてみることにした。

 まず、最初に確認しておきたいことは、おそらく安倍さんはどんな状況になろうとTPP交渉離脱はしたがらないだろうということ。なぜなら理由は簡単である、自民党の議員は民主党時代にTPP参加の是非について一貫して、民主党政権の交渉力の不足を指摘し続け、なおかつそれをTPP反対の大きな根拠の一つとして挙げていた。そのような経緯を踏まえるなら、現在の状況でTPP脱退を宣言することは安倍政権の交渉力が民主党同様に不足していたという事を認めることとなる。これだけ国民から高い支持率を受けている状況でわざわざ自分から
「実は、自分たちは世界に伍していくだけの交渉力のないダメな政権でした!!」
と、宣言したいとはとても思わないだろう。あれだけ、
「これからは世界に打って出るのだ!!」
と威勢の良い発言を繰り返してきた安倍首相にあってはなおさらである。

 ちなみに、同様のことは消費税にも言える。以前から、景気の状況を見て消費税を増税するか決めると宣言してるにもかかわらず、秋に消費税を増税を決定しなければ、安倍政権の最大の目玉政策であったアベノミクスの成果を自ら否定することになる。

 結局、非常に残念なことに、現実の世界ではその政策判断が正しいか否かといった問題より、はるかに程度の低い様々な事情によって政策が左右されることが往々にしてある。時にそれは、政策担当者の能力不足や、その人物がおかしなイデオロギーに凝り固まってるせいであったり、あるいは政策責任者(言うまでもなく、消費税およびTPP交渉に関しては首相)のメンツを守るためであったりする。

「国民に断固とした姿勢を示すため!!」などと言われれば、思わず、「断固として間違った政策を実行するのかよ?!(笑)」とからかいたくもなるが、結局そんなくだらない理由で非常に重要な政治的決定が下される例は事実存在する。

 正解を出したい(あるいは少なくとも正解する確立を上げたい)と思えば、まず自分が間違いやすい事を認め、意図して自分のミスを探し出し、どうしてそのミスを犯すことになったのかをつきとめなければならない。この真理は、正解することがちっぽけな事故の高揚ではすまされず、のっぴきならない課題である分野では、以前から認識されていた。交通運輸、工業デザイン、食品や薬品の安全性、原子力エネルギーなどの分野だ。そのような分野は、どんなに良い状態でも、誤りについて、生産性のために気にせざるをえない。過誤が生じうるありうる理由をすべて想像しようとし、できるだけ多くの過誤を防ごうとし、過誤が紛れ込んでしまったら、事後に徹底調査を行う。こうした業界は、誤りは避けられないと認めることによって、過誤を予見でき、予防が失敗しても適切に対応できるようになる。
(『間違っている エラーの心理学、誤りのパラドックス』キャスリン・シュルツ 著 松浦俊輔 訳 p399)


 どのような観点から考えても、おそらく1億2千万人の生命の安全や人生そのものに非常に大きな影響を与える日本の政治の政策の意思決定は、
>正解することがちっぽけな事故の高揚ではすまされず、のっぴきならない課題である分野
であるはずなのだが、残念ながら日本の政策担当者が
>過誤が生じうるありうる理由をすべて想像しようとし、できるだけ多くの過誤を防ごうとし、過誤が紛れ込んでしまったら、事後に徹底調査を行
っているようにはとても思えない。

 さらには、前回の記事で書いたように
「『TPPがアジア・太平洋の世紀の幕開けとなった』。後世の歴史家はそう評価するに違いありません・・・TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます。」
などという、如何なる方法においても証明不可能な極めて主観的な思い込み(というか妄想?)を根拠に、国民の生活全般にわたって様々な深刻な悪影響が懸念されているTPP参加について簡単に決定をしてしまうような安倍首相に
>自分が間違いやすい事を認め、意図して自分のミスを探し出し、どうしてそのミスを犯すことになったのかをつきとめ
ようとする姿勢があるとも全く思えない。

 おそらく、不可能だろうと思いつつも、いい加減日本人は、「断固として改革を断行する事」や、「ブレない実行力」などといった姿勢より「自らの失敗を認め態度を改める」事の方が勇敢であると認めるべきである。一度決定した決断を改めるリーダーが頼りなく感じ、もっと毅然とした態度をとる頼りがいのあるリーダーを求める気持ちは理解できなくはない。しかし、頼りがいのある素晴らしく立派なリーダーに間違った政策を取り続けられることほどの悲劇はない、中野剛志さんが言うように間違った決断を行ったのならば正しい政策に軌道修正するためにブレるのが正解なのである。

 そのような意味では、1997年に、消費税増税を行い日本を10年以上続くデフレ不況に追い込んだ橋本龍太郎元首相が次のような言葉を述べた事は評価しなければならないと思っている

「私は97年から98年にかけて緊縮財政をやり、国民に迷惑をかけた。私の友人も自殺した。本当に国民に申し訳なかった。これを深くお詫びしたい」(2001年4月 故・橋本龍太郎元総理大臣)

1997年からの不況も、いくらでも言い逃れは出来たし、誰だって、自分の友人が自殺した理由を自分が取った政策のせいにはしたくない。にも関わらず、このように客観的に事実を認め、このような謝罪を行うことは、そうとうな勇気と誠実さを必要とする。それを行うための精神的重圧は、おそらく自分の政策ミスを認めず、無理やり継続するための精神的プレッシャーをはるかに上回るだろう。



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