消費税論議はどうでしょう。
私は、これ、あんまり興味ありません。
どうしてか。
増税派筆頭の財務省は、消費税増税するなら公共投資を増やすけど、増税しないなら公共投資もなしという方針です。
「第二の矢」の国土強靭化は、消費税増税がなければできないという仕組みです。
自民党の積極財政派も、公共事業欲しさに、あっさり消費税増税に賛成するでしょう。
(三橋貴明の「新」日本経済新聞 【東田剛】安倍政権だよ、全員、平蔵! http://www.mitsuhashitakaaki.net/2013/08/14/korekiyo-57/ より)
この記事を読むと、あたかも仮に消費税増税をすれば財務省は積極的な公共事業を容認するかのように思えるが、おそらく実際にはそうはならないであろうと筆者は考える。しかし、それは十分に東田氏も認識しているようであり、この後に次のような文章が書かれている。
ただし、増税が決まったら、どうせ、すぐに、緊縮財政に戻るでしょう。
なぜこのようなことが言えるのか?俺は、東田氏の頭の中をのぞき込めるわけではないので、東田氏と同じ考えかは分からないが、消費税増税が決定した場合どのようなカタチで同時に緊縮財政が進められるか、俺なりに予測を書いてみる。
消費税が決定した場合に、公共投資の増加に反対する世論を形成する方法は意外と簡単かつ単純で、まず消費税増税が決定した時に、政府が公共投資の額を増額させようとした場合、マスコミはこぞって
「国民の血税である消費税を増税した分の金を土建屋へのバラマキに使うのか!!」
といういかにも頭のそうな、出来の悪いネガキャンを始めるだろう。
しかし、結局ある種の与論誘導やプロパガンダの有効性はその論理的緻密性には全く左右されない、いやむしろ多くの政治的プロパガンダは(たとえその内容がどれだけ間違っていたとしても)単純で分かりやすいメッセージこそが効果的である場合が多い。そして、あとは、その単純で分かりやすいメッセージをどれだけ大量に流し続けられるかで勝負は決まる。
その意味では、ほぼ全ての地上波や新聞メディアで、あたかも「自分が必死に働いて稼いで払ったお金が、ワケのわからない土建業者という利権団体に吸い取られていく」かのようの錯覚を抱かせられるこのようなメッセージを大量に流されれば、ほとんどの国民はやられてしまう。もちろん、現在でも一部では増税せず財政出動するというケインズ主義的なオプションが強い景気回復効果をもたらすと理解している人たちもいるがあくまで少数派であり、その声が現実に政府を動かしていけるかは大いに不安が残る。結局のところ、反対の声を押し切って、半ば強引に進めてった消費税の三党合意やTPP参加交渉と同じ帰結を辿るのではないかと推測するのことがおおよそ妥当であろう。しかも、その二つは、議会や国民の中でも反対意見が圧倒的に強かったが、この公共事業の問題に関しては数の上ですら不利なのである。おそらくはほとんど何の障害もなく、「財政再建」「民間の活力を活かす」等々の美名のもとに公共投資は削減されるであろう。
最後に、消費税自体の問題ついてである。去年春になされた景気条項が付けられた消費税の三党合意に関して、藤井聡さんは
「来年の秋にデフレ脱却が完全になされていない場合、仮の時の政権がまっとうな(政策判断能力、政権担当能力を有する)政権であるとするなら、附帯18条である景気条項に則って、消費税増税は先送りされるだろう」と述べていたが、残念ながら、TPP問題、靖国問題、歴史問題、構造改革についての判断等々現在までの経過を見る限り安倍政権がまっとうな政策判断能力を有しているとは信じられないのである。そして、さらに厄介であるのがこの三党合意では増税の是非の判断に国会の承認は不要であり、政府の判断のみに任されているという点だ、このような点を踏まえるなら議会の反対による阻止という選択肢が存在しない以上、消費税問題はTPP問題以上に絶望的な状況であると言ってよいかもしれない。
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