今回の選挙で特に注目が集まった候補者といえば、やはり山本太郎と渡邉美樹の二人だろう。ネット上では、渡邉が当選したことや、山本太郎を当選させた東京都民の愚かさをオーバーに嘆いてみせる声が特に目立ったが、前回の衆院選の結果から山本太郎の当選は予測できた。自民党の調査では、すでに公示前に「5位に喰い込む」と予想していた。各メディアの調査でも、3日前から「当選圏内」と出ていた。渡邉美樹に関してもおそらく当選するだろうと思っていた。むしろ、あれだけ下位での当選だっただけまあまともな判断する人がそれなりに多かったという事だろう。仮に小泉の時代であればもっと楽に当選していたハズだ。
「ネット選挙が〜」などといったところで、ネット使うようになっただけで、人間そんな急に賢くなるはずもない。ネットなどは所詮情報をあつめるための1つのツールにすぎない。自分がネット使うようになってどの程度賢くなったかって考えれば分かることだろう。
まあ、そうは言っても俺自身は山本太郎は嫌いだし、当然ながら出来ることなら落選して欲しいと思っていた。何より、俺は政治の世界で奇抜なパフォーマンスや政治信念を表明することによって大衆人気を集めようとする人間が大嫌いなのである。ビジネスやスポーツ、あるいは芸術の世界といった分野で奇抜な事やろうとするのは個人の自由であり、一向に構わないが、政治の世界で奇抜さを売りにしてる人間は、まあほぼ間違いなく信用出来ない人間だと思って良い。そもそも、何千万、あるいは何億といった人々の生活や生命が関わる政治の分野でワケのわからん奇抜なイデオロギーや政策論、あるいはパフォーマンスで人気を獲得しようと思う人間がまともなワケが無い、非常に多くの人々の人生に多大な影響を否応なく与えてしまう政治という分野において最も重要な要素は確実性と安定性である。
まあ、俺自身もこのような考えを持ってはいるのであるが、それにしても、まあ渡邉や、山本太郎の当選をあまりにも派手に嘆くネットユーザーの主張を見ても、今さら何を驚いてるんだ?と思う。実際に、異常なまでの理不尽な東電叩き、これまでの構造改革やTPPの議論と、いくらでもそこに至る過程であると見て取れる兆候はあった。
例えばの話だが、もし仮に、西部さんのような人が俺のツイッターのTLを見たら、きっと「コイツ等は、何を今さらワタミだの山本太郎だの大騒ぎしとるんかい・・・」と言うと思うのだ。
おそらく、西部さんのような視点からすると、大衆を見たとき、お湯の温度がどんどん上がってるのをずーっと無視してて、お湯が沸騰してブクブクし出したとたんにギャーギャー大騒ぎする人間のような愚かしさを感じとるのだと思う。
「お前ら、お湯の温度が上がってる間、何もしないどころか、それに気づきすらしなかったじゃないか!!」
と・・・。
ほとんど全ての人々は、派手でわかり易い事件に対しては大げさに反応するものの、そこに至るまでの大小様々な兆候に関しては驚くほど鈍感である。そういう人々は往々にして、高い認識力や鋭い見識を持った少数派の人々が、大きな危機を招く可能性のあるさまざまな出来事に対して発する警句をことごとく無視する。ある時は、そんなの「ビビり過ぎだ!!」と言ってその訴えを退け、またある時はただそれが少数派の意見であるというだけの理由でバカにする。
以前、西部さんは、冗談で「あれだけ、アメリカについていけば日本の安全は大丈夫!!なんて言い続けていた岡崎久彦でさえ、最近では米中接近を言い始めているようだが、ハッキリ言って彼はワシに謝れと言いたい!!」と言っていたが、おそらく半分冗談半分本気といったところだろう。
おそらく、いつでも現実の人々や社会の認識はこのようなものなのだろう。大衆が一部の優れた認識力を持った人々の卓見を無視し続ける、そして何か事が起こった時にようやくどちらが正しかったのかがわかる時が来る。
まあ、願わくばこの山本太郎と渡邉美樹の当選がさらなるさらに大きな危機への兆候でなければと思うが・・・。
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